「ハンターカブやクロスカブのメンテナンス、トルクレンチは結局どれを買えばいいの?」
愛車のオイル交換やカスタムに挑戦しようとしたとき、最初にぶつかるのがこの悩みですよね。
実は、ネットでよく見かける「これ1本でOK!」という情報を鵜呑みにすると、最悪の場合、大切なエンジンを壊してしまう危険性があることをご存知でしょうか?
本記事では、多くのカブ主さんが陥りがちな「トルクレンチ選びの落とし穴」を解消し、あなたの愛車を長く安全に乗るための「正解の選び方」と「おすすめのモデル」をご紹介します。
この記事の結論
ハンターカブ・クロスカブの整備には、「役割の違う2本のレンチ」を使い分けるのが、実は最もコスパが良く安全です。
- メイン(力持ち担当):20〜100N・m→ アクスルシャフト、ドレンボルトなど「走りの要」に必須!
- サブ(繊細担当):5〜25N・m→ プラグ交換、外装カバーなど「壊れやすいアルミ部品」を守る!
「えっ、2本も必要なの?」と思った方こそ、ぜひ続きを読んでみてください。数万円の修理費を払うリスクを回避するための、重要なノウハウを詰め込みました。

なぜ「1本で万能」なトルクレンチは危険なのか?
まず、ここが一番重要なポイントです。なぜ、多くのサイトで紹介されている「20-100N・m」のトルクレンチだけでは不十分なのでしょうか。
カブのエンジンは「アルミ製」でデリケート
ハンターカブやクロスカブのエンジンは、放熱性の高いアルミニウム合金で作られています。アルミは鉄に比べて柔らかいため、締め付けすぎ(オーバートルク)に非常に弱いという特徴があります。
ここで問題になるのが、メンテナンス頻度の高い「スパークプラグ交換」です。
致命的な「空白のトルク帯」問題
当ブログの【 締め付けトルク一覧記事 】から、主要な数値を抜粋してみましょう。
| 整備項目 | 規定トルク(目安) | 一般的なレンチの下限 | 結果 |
| スパークプラグ | 10〜16 N・m | 20 N・m | 設定不可 (破壊リスク大) |
| 外装・カバー類 | 8〜12 N・m | 20 N・m | 設定不可 (破壊リスク大) |
| ドレンボルト | 24〜30 N・m | 20 N・m | OK(最適) |
| アクスルナット | 59〜64 N・m | 20 N・m | OK(最適) |
※規定トルクは年式により異なりますが、プラグや小ボルトは概ね20N・m以下です。
このように、一般的な「バイク用」として売られているトルクレンチ(20N・m〜)では、最も頻繁に行うプラグ交換やカバー脱着のトルク(20N・m以下)に対応できないのです。
危険!
「最低目盛りの20N・mでいいか」と無理やり締め付けると、規定値の1.5倍〜2倍の力がかかり、エンジンのネジ山を破壊してしまう恐れがあります。シリンダーヘッドの修理費は数万円コースです…。
カブ乗りの最適解!「2本持ち」のススメ
「それなら、最初から5〜100N・mまで測れるレンチはないの?」と思いますよね。
残念ながら、バネの構造上、それほど広い範囲を1本で高精度にカバーできる工具は、一般的には存在しません。
だからこそ、プロの整備士も実践している「2本使い」が、結果的に愛車を守る一番の近道なんです。
プロの整備士も実践している「2本使い」
- 【重整備用】20-100N・mタイヤ交換、オイル交換(ドレン)、サスペンション交換などに使用。まずはこれを一本!
- 【精密整備用】5-25N・mプラグ交換、外装パーツ、ハンドル周りなどに使用。これを買い足せば完璧!
【重整備用】おすすめトルクレンチ 3選(20-100N・m)
まずは基本となる1本。
タイヤ交換(アクスルナット約59N・m)やドレンボルト(約24N・m)をしっかり管理できる、信頼性の高いモデルを厳選しました。
選定基準: レビュー数豊富・評価4.0以上・差込角9.5mm(バイク整備の標準サイズ)
1. TONE(トネ)プレセット形 T3MN100-QL【イチオシ!】
- タイプ: メカニカルデジタル表示
- 範囲: 20〜100 N・m
- 特徴: 数値を直接読む「デジタル表示」で設定ミスが起きない!
迷ったらコレ!
目盛りの読み間違いを防ぐ「デジタル表示(メカニカル)」が最大の特徴。
「24N・mに合わせたつもりが26N・mだった」というようなヒューマンエラーを物理的に防いでくれます。
初心者の方にこそ、最もおすすめしたい一本です。
2. 東日製作所(トーニチ)QL100N4-3/8【プロの定番】
- タイプ: アナログ(金属グリップ)
- 範囲: 20〜100 N・m
- 特徴: 「カッチン!」という明確なクリック感と高耐久性。
一生モノの工具が欲しいなら
日本の産業界を支える東日製作所の製品。金属製のローレットグリップは油のついた手でも滑りにくく、設定トルクに達した時の「カッチン」という手ごたえが非常に明確です。
アクスルナットなど、力のいる作業での安心感は別格です。
3. KTC(京都機械工具)GW100-03【握りやすさNo.1】
- タイプ: アナログ(樹脂グリップ)
- 範囲: 20〜100 N・m
- 特徴: 人間工学に基づいたグリップで手が痛くなりにくい。
快適に作業したいなら
KTCの進化形トルクレンチ。樹脂製のグリップが手にフィットし、力を入れるポイントが自然と定まるように設計されています。
ホビーユーザーにとっての使いやすさを徹底的に追求したモデルです。
【精密整備用】追加で持ちたい「小トルク用」レンチ(5-25N・m)
ここが今回の最重要ポイントです。プラグ交換(約10-16N・m)や外装の脱着を自分で行うなら、以下の「小トルク用」も必ず揃えてください。
メインのレンチと合わせれば、カブの整備はほぼ完璧になります。
TONE(トネ)プレセット形 T3MN20 / T3MN25
メインで紹介したTONEの「弟分」にあたるモデルです。
- 範囲: 4〜20 N・m(または5〜25N・m)
- 用途: スパークプラグ、クランクケースカバー、マフラーのスタッドボルトなど
繊細なアルミネジを守るための「保険」として、この1本があるかないかで安心感が全く違います。
まとめ:自分の作業範囲に合わせて賢く選ぼう
トルクレンチ選びで失敗しないためのポイントをおさらいしましょう。
- タイヤ交換やオイル交換だけやるなら:→ 20-100N・mの「メインレンチ」1本でOK!
- プラグ交換やカスタムも楽しみたいなら:→ 20-100N・m に加えて、5-25N・mの「サブレンチ」も必須!
- 初心者は:→ 設定ミスを防ぐTONE(デジタル表示)が一番おすすめ。
適切な工具を使うことは、愛車への一番の愛情表現です。ぜひ、あなたのスタイルに合ったレンチを手に入れて、安全で楽しいカブライフを送ってくださいね!











